更年期外来

2009年に日本産科婦人科学会・日本更年期医学会よりホルモン補充療法ガイドラインが初めて示されました。このガイドラインは女性医療に従事する産婦人科医にとって、女性の健康寿命の延長は重要なミッションであるという観点から、ホルモン補充療法を安全で効果的に用いるための道しるべとなるものです。

更年期障害の治療と疾患の予防法

更年期には女性ホルモン(特に女性にとって大切なホルモンであるエストロゲン)が低下する時期です。さらに、心理的・社会的にも不安定な時期であるため、更年期障害の発症にはこれらエストロゲンの低下と心因性要素とが大いに関係しています。

したがって、エストロゲンの補充と生活習慣の改善が更年期障害の治療と疾患の予防法といえます。
※疾患:骨粗しょう症、動脈硬化症、脂質代謝異常症など

HRTで改善・予防できる症状や疾患

ホルモン補充治療法(HRT)

卵巣機能の低下に伴う女性ホルモンの低下・欠乏を薬剤で補充し、精神・身体機能の改善や維持を目的とした治療法です。

更年期のエストロゲンの補充(HRT)には二つの意味があります。一つは、のぼせ感などの更年期障害の症状緩和目的です。もう一つは、健康で生活ができる(※健康寿命を延ばす)ための将来に向けての保険という意味です。
ご存じのように、日本人女性の平均寿命は88.4歳で世界第一位ですが、いくら長生きしても寝たきりで過ごす事は誰も望んでいません。
※健康寿命(けんこうじゅみょう)とは日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができるまでの年齢のこと。日本人の健康寿命は男性で72.3歳、女性で77.7歳(WHO 2004年)

比較的早く良くなる症状(3ヵ月以内)

のぼせ ほてり 発汗 手足の冷え 皮膚のはり感 など
骨粗しょう症 動脈硬化症 萎縮性膣炎 尿失禁 老人性痴呆 アルツハイマー病 など

ホルモン補充療法(HRT)の流れ

① 問診

② 検査(処方開始時、年に1~2回)

血圧測定年に2回
血液検査貧血、GOT、GPT、LDH、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、血糖:年に2回
子宮がん検査子宮頸がん、子宮体がん検査:年に1回
超音波検査子宮・卵巣のチェック:年に1回
乳がん検査自治体の検診や人間ドックなどをご利用ください:年に1回

③ 処方

④ フォローアップ

⑤ HRT中の検査治療の効果判定

⑥ フォローアップ

その他、漢方や年齢別プログラムなど、一人一人に適した対処法をご案内いたします。
漠然とした不安や恐怖感から開放されるためにも、まずはご相談ください。